ポートチャネルの機能説明
ポートチャネルは、複数のポートでもう1台の装置と接続し、接続した複数のポートをチャネルグループという仮想リンクで1つに束ねる機能です。最大で、8ポートをチャネルグループに登録できます。
ポートチャネル

装置の物理インターフェースであるポートを同時に複数使用するため、接続した装置との間で帯域幅が広くなります。2つのポートをポートチャネルに設定した場合、帯域幅が2倍になります。
チャネルグループに登録した複数のポートのいずれかに障害が発生した場合、残りのポートで通信を継続します。これにより、冗長性を確保します。
チャネルグループの作成
チャネルグループには、ポートチャネルで使用するポートを登録します。チャネルグループを作成するには、インターフェースを指定してインターフェース設定モードに遷移し、チャネルグループIDを指定してchannel-groupコマンドを使用します。
ERPSまたはMMRP-Plusのリングポートに指定したポートチャネルでメンバーポートを追加・削除したり、対象のポートチャネル自体を削除したりするには、ERPSまたはMMRP-Plusを無効状態にする必要があります。ループなどが発生しないよう、注意して実施してください。
接続先の装置とチャネルグループIDを同じにする必要はありません。
1つのポートチャネルで、異なる帯域のメンバーポートが混在する構成は未サポートです。同じポートチャネルに属するメンバーポートは、同一の帯域設定で構成してください。
NP7000(1.05.01以降)、NP5000(1.05.01以降)、およびNP3000で設定可能なチャネルグループ数は127個です。NP7000およびNP5000の1.05.01より前のバージョンでは32個です。
NP4000、NP2100、NP2000(1.03.01以降)、およびNP2500で設定可能なチャネルグループ数は48個です。NP2000の1.03.01より前のバージョンでは32個です。
チャネルグループのモード
チャネルグループには、スタティックモード、LACPアクティブモード、およびLACPパッシブモードの3つのモードがあります。
LACPとLLDP疑似リンクダウン機能は、同一ポートで併用できません。
LACPを使用できるチャネルグループ数は最大32個(チャネルグループIDは任意のIDを指定可能)です。たとえば、LACPを使用して32個のポートチャネルを設定した場合、残りはスタティックモードのポートチャネルとして使用できます。
- スタティックモード
ポートチャネルを構成する際に、ネゴシエーションを実行せずに、強制的にポートチャネルを構成します。
チャネルグループをスタティックモードにする場合、onパラメーターを指定してchannel-groupコマンドを使用します。
- LACPアクティブモード
ポートチャネルを構成する際にLACPというプロトコルを使用し、ダイナミックにポートチャネルを有効化します。LACPアクティブモードでは、接続先のポートがアクティブまたはパッシブモードの場合に、ポートがLACPパケットを送信することで、接続先のポートとネゴシエーションを開始します。
チャネルグループをLACPアクティブモードにする場合、activeパラメーターを指定してchannel-groupコマンドを使用します。
- LACPパッシブモード
ポートチャネルを構成する際に、LACPアクティブモードと同じくLACPを使用します。LACPパッシブモードでは、ポートは自らはネゴシエーションを開始せず、接続先のポートがアクティブモードの場合に、接続先のポートから送信されたLACPパケットを受信したときに応答し、ネゴシエーションを実行します。なお、接続先のポートがパッシブモードの場合は、ネゴシエーションを実行しません。
チャネルグループをLACPパッシブモードにする場合、passiveパラメーターを指定してchannel-groupコマンドを使用します。
LACPDUの受信タイムアウトの設定
LACPDUの受信タイムアウトを検知するためのLACPタイマーを、shortまたはlongで設定します。
LACPDUの送信間隔は対向装置の受信タイムアウト時間に依存するため、LACPタイマーの設定は自装置側と対向装置側で同じにしてください。
LACPタイマーをshortに設定した場合は、LACPDUの受信タイムアウト時間は3秒になります。また、自装置および対向装置がshort設定の場合は、LACPDUの送信間隔は1秒になります。
LACPタイマーをlongに設定した場合は、LACPDUの受信タイムアウト時間は90秒になります。また、自装置および対向装置がlong設定の場合は、LACPDUの送信間隔は30秒になります。
LACPタイマーをshortに設定すると、リンクダウンを伴わない障害の検知時間は短縮されますが、LACPDUトラフィックが増えるため、CPU負荷が増加します。受信タイムアウト検知などが頻発する場合は、LACPタイマーをlongに変更するか、スタティックモードのポートチャネルに変更して使用してください。
LACPDUの受信タイムアウトを検知するためのLACPタイマーを変更するには、lacp timeoutコマンドを使用します。
負荷分散アルゴリズムの選択
チャネルグループに登録した複数のポートに負荷を分散させるためのアルゴリズムを選択します。
負荷分散のアルゴリズムを選択するには、アルゴリズムのパラメーターを指定してport-channel load-balanceコマンドを使用します。選択できるアルゴリズムは以下のとおりです。()内は指定するパラメーターです。
- 宛先MACアドレスと送信元MACアドレスによる負荷分散(src-dst-mac)
- 宛先MACアドレスによる負荷分散(dst-mac)
- 送信元MACアドレスによる負荷分散(src-mac)
- 送信元IPアドレスと宛先IPアドレスによる負荷分散(src-dst-ip)
- 宛先IPアドレスによる負荷分散(dst-ip)
- 送信元IPアドレスによる負荷分散(src-ip)
- 送信元TCP/UDPポート番号と宛先TCP/UDPポート番号による負荷分散(src-dst-l4-port)
- 宛先TCP/UDPポート番号による負荷分散(dst-l4-port)
- 送信元TCP/UDPポート番号による負荷分散(src-l4-port)
NP2100、NP2000、およびNP2500では、dst-l4-portパラメーター、src-dst-l4-portパラメーター、およびsrc-l4-portパラメーターを使用できません。
負荷分散アルゴリズムの各パラメーターで中継ポート選択に使用される要素を以下に示します。
フレーム/パケット種別 | port-channel load-balanceの設定 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
src-dst-mac(デフォルト) | dst-mac | src-mac | src-dst-ip | dst-ip | src-ip | src-dst-l4-port | dst-l4-port | src-l4-port | |||
非IPパケット | MACアドレス未学習 |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA | |
MACアドレス学習済み |
DA SA VID ET |
DA VID ET |
SA VID ET |
DA SA VID ET |
DA VID ET |
SA VID ET |
DA SA | DA | SA | ||
IPパケット | UC | MACアドレス未学習 |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA |
MACアドレス学習済み |
DA SA VID ET |
DA VID ET |
SA VID ET |
DIP SIP | DIP | SIP |
DPORT SPORT | DPORT | SPORT | ||
MC | - |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA | |
BC | - |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA |
DA SA | DA | SA |
DA: 宛先MACアドレス
SA: 送信元MACアドレス
VID: VLAN ID
ET: イーサタイプ
DIP: 宛先IPアドレス
SIP: 送信元IPアドレス
DPORT: 宛先TCP/UDPポート番号
SPORT: 送信元TCP/UDPポート番号
ミニマムリンク機能
ポートチャネルのミニマムリンク機能を設定すると、スタティックモードのポートチャネルでアップ状態のメンバーポート数が最低リンク数より少なくなった場合に、残りのアップ状態のメンバーポートすべてを「ミニマムリンク機能によるダウン状態」に変更します。これにより、まだアップ状態のメンバーポートが残っていても、対象ポートチャネル全体をダウンさせることができます。
ミニマムリンク機能とリンクダウン連携機能は併用できません。
ミニマムリンク機能は、NP7000の1.10.02以降、NP5000の1.09.01以降、NP3000の1.10.01以降でサポートしています。
ミニマムリンク機能はスタティックモードのポートチャネルでのみ使用できます。LACPモードのポートチャネルでは使用できません。
ミニマムリンク機能を使用する場合は、対向装置でも同じ最低リンク数設定でミニマムリンク機能を有効にしてください。
「ミニマムリンク機能によるダウン状態」のメンバーポートは、物理ポートとしてはリンクアップ状態ですが、ポートチャネルのメンバーポートとしてはダウン状態になります。この状態の物理ポートは、show interfaces statusコマンドのStatus項目では通常のリンクアップ状態と同様にconnected表示ですが、show interfaces portコマンドのlink status is項目およびshow interfaces descriptionコマンドのStatus項目ではminDownと表示されます。
アップ状態になることができるメンバーポート数が最低リンク数以上になると、「ミニマムリンク機能によるダウン状態」は解除されて、対象のポートチャネルはアップします。
ミニマムリンク機能の最低リンク数を設定するには、minimum-linkコマンドを使用します。