VRFの構成例と設定例

VRFを利用する場合の構成例と設定例を示します。

VRFでRIPを使用する場合

VRFでRIPを使用する場合の構成例と設定例を示します。この例では、以下の2個のVRFインスタンスを設定し、それぞれのVRFインスタンスでRIPを有効にしています。

VRFインスタンス名：VRF-A
ルート識別子：65534:1001
所属IPv4インターフェース：172.16.10.254/24 (v10), 172.16.20.254/24 (v20)
VRFインスタンス名：VRF-B
ルート識別子：65534:1002
所属IPv4インターフェース：172.16.10.254/24 (v101), 172.16.20.254/24 (v102)

VRFでRIPを使用する場合の構成例

VRFインスタンス「VRF-A」と「VRF-B」のRIP設定と論理構成図を示します。VRFインスタンス「VRF-B」では、RIP以外にIPv4スタティックルートも設定しています。

VRFインスタンス「VRF-A」の論理構成図

VRFインスタンス「VRF-B」の論理構成図

VLAN 10、20、101、102を作成します。

sw1# configure terminal
sw1(config)# vlan 10,20,101,102
sw1(config-vlan)# exit
sw1(config)#

ポート1/0/5をトランクポートとして設定し、トランクポートに［VLAN 10］および［VLAN 101］を割り当てます。

sw1(config)# interface port 1/0/5
sw1(config-if-port)# switchport mode trunk 
sw1(config-if-port)# switchport trunk allowed vlan 10,101
sw1(config-if-port)# exit
sw1(config)#

ポート1/0/1をアクセスポートとして設定し、アクセスポートに［VLAN 20］を割り当てます。また、ポート1/0/20をアクセスポートとして設定し、アクセスポートに［VLAN 102］を割り当てます。

sw1(config)# interface port 1/0/1
sw1(config-if-port)# switchport mode access
sw1(config-if-port)# switchport access vlan 20
sw1(config-if-port)# exit
sw1(config)# interface port 1/0/20
sw1(config-if-port)# switchport mode access
sw1(config-if-port)# switchport access vlan 102
sw1(config-if-port)# exit
sw1(config)#

VRFインスタンス名［VRF-A］、ルート識別子［65534:1001］でVRFインスタンスを設定します。
```
sw1(config)# ip vrf VRF-A
sw1(config-vrf)# rd 65534:1001
sw1(config-vrf)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「VRF-A」に所属するIPv4インターフェースとして、VLAN 10インターフェースとVLAN 20インターフェースを関連付けます。また、VLAN 10インターフェースのIPアドレスを［172.16.10.254/24］に、VLAN 20インターフェースのIPアドレスを［172.16.20.254/24］に設定します。
```
sw1(config)# interface vlan 10
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding VRF-A
sw1(config-if-vlan)# ip address 172.16.10.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)# interface vlan 20
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding VRF-A
sw1(config-if-vlan)# ip address 172.16.20.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)#
```

VRFインスタンス「VRF-A」でRIPを有効に設定します。RIPのバージョンを［version 2］に、RIPを有効にするネットワークを［172.16.10.0］および［172.16.20.0］に設定します。

sw1(config)# router rip
sw1(config-router)# address-family ipv4 vrf VRF-A
sw1(config-router-af)# version 2
sw1(config-router-af)# network 172.16.10.0
sw1(config-router-af)# network 172.16.20.0
sw1(config-router-af)# exit
sw1(config-router)# exit
sw1(config)#

VRFインスタンス名［VRF-B］、ルート識別子［65534:1002］でVRFインスタンスを設定します。
```
sw1(config)# ip vrf VRF-B
sw1(config-vrf)# rd 65534:1002
sw1(config-vrf)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「VRF-B」に所属するIPv4インターフェースとして、VLAN 101インターフェースとVLAN 102インターフェースを関連付けます。また、VLAN 101インターフェースのIPアドレスを［172.16.10.254/24］に、VLAN 102インターフェースのIPアドレスを［172.16.20.254/24］に設定します。
```
sw1(config)# interface vlan 101
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding VRF-B
sw1(config-if-vlan)# ip address 172.16.10.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)# interface vlan 102
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding VRF-B
sw1(config-if-vlan)# ip address 172.16.20.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)#
```

VRFインスタンス「VRF-B」でRIPを有効に設定します。RIPのバージョンを［version 2］に、RIPを有効にするネットワークを［172.16.10.0］および［172.16.20.0］に設定します。また、スタティックルートの再配布をメトリック10で有効にします。

sw1(config)# router rip
sw1(config-router)# address-family ipv4 vrf VRF-B
sw1(config-router-af)# version 2
sw1(config-router-af)# network 172.16.10.0
sw1(config-router-af)# network 172.16.20.0
sw1(config-router-af)# redistribute static metric 10
sw1(config-router-af)# exit
sw1(config-router)# exit
sw1(config)#

VRFインスタンス「VRF-B」でスタティックルート［宛先ネットワーク：10.0.50.0/24 、ネクストホップ：172.16.20.200］を設定します。
```
sw1(config)# ip route vrf VRF-B 10.0.50.0/24 172.16.20.200 primary
sw1(config)# end
sw1#
```

VRFでOSPFv2を使用する場合

VRFでOSPFv2を使用する場合の構成例と設定例を示します。この例では、以下の2個のVRFインスタンスを設定し、それぞれのVRFインスタンスでOSPFv2を有効に設定しています。

VRFインスタンス名：test-vrf1
ルート識別子：64512:1
所属IPv4インターフェース：192.168.0.254/24 (v10), 192.168.1.254/24 (v20)
VRFインスタンス名：test-vrf2
ルート識別子：64512:2
所属IPv4インターフェース：192.168.0.254/24 (v51), 192.168.1.254/24 (v52)

VRFでOSPFv2を使用する場合の構成例

VRFインスタンス「test-vrf1」と「test-vrf2」のOSPFv2設定と論理構成図を示します。VRFインスタンス「test-vrf2」では、OSPFv2以外にIPv4スタティックルートも設定しています。

VRFインスタンス「test-vrf1」の論理構成図

VRFインスタンス「test-vrf-2」の論理構成図

VLAN 10、20、51、52を作成します。

sw1# configure terminal
sw1(config)# vlan 10,20,51,52
sw1(config-vlan)# exit
sw1(config)#

ポート1/0/5をトランクポートとして設定し、トランクポートに［VLAN 10］および［VLAN 51］を割り当てます。

sw1(config)# interface port 1/0/5
sw1(config-if-port)# switchport mode trunk 
sw1(config-if-port)# switchport trunk allowed vlan 10,51
sw1(config-if-port)# exit
sw1(config)#

ポート1/0/1をアクセスポートとして設定し、アクセスポートに［VLAN 20］を割り当てます。また、ポート1/0/20をアクセスポートとして設定し、アクセスポートに［VLAN 52］を割り当てます。

sw1(config)# interface port 1/0/1
sw1(config-if-port)# switchport mode access 
sw1(config-if-port)# switchport access vlan 20
sw1(config-if-port)# exit
sw1(config)# interface port 1/0/20
sw1(config-if-port)# switchport mode access
sw1(config-if-port)# switchport access vlan 52
sw1(config-if-port)# exit
sw1(config)#

VRFインスタンス名［test-vrf1］、ルート識別子［64512:1］でVRFインスタンスを設定します。
```
sw1(config)# ip vrf test-vrf1
sw1(config-vrf)# rd 65412:1
sw1(config-vrf)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「test-vrf1」に所属するIPv4インターフェースとして、VLAN 10インターフェースとVLAN 20インターフェースを関連付けます。また、VLAN 10インターフェースのIPアドレスを［192.168.0.254/24］に、VLAN 20インターフェースのIPアドレスを［192.168.1.254/24］に設定します。
```
sw1(config)# interface vlan 10
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding test-vrf1
sw1(config-if-vlan)# ip address 192.168.0.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)# interface vlan 20
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding test-vrf1
sw1(config-if-vlan)# ip address 192.168.1.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「test-vrf1」でOSPFv2を有効に設定します。ルーターIDを［1.1.1.1］に、OSPFv2を有効にするネットワークを［192.168.0.0 0.0.0.255］および［192.168.1.0 0.0.0.255］に、それぞれのネットワークのエリアIDを［0.0.0.0］に設定します。
```
sw1(config)# router ospf vrf test-vrf1
sw1(config-router)# router-id 1.1.1.1
sw1(config-router)# network 192.168.0.0 0.0.0.255 area 0.0.0.0
sw1(config-router)# network 192.168.1.0 0.0.0.255 area 0.0.0.0
sw1(config-router)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス名［test-vrf2］、ルート識別子［64512:2］でVRFインスタンスを設定します。
```
sw1(config)# ip vrf test-vrf2
sw1(config-vrf)# rd 65412:2
sw1(config-vrf)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「test-vrf2」に所属するIPv4インターフェースとして、VLAN 51インターフェースとVLAN 52インターフェースを関連付けます。また、VLAN 51インターフェースのIPアドレスを［192.168.0.254/24］に、VLAN 52インターフェースのIPアドレスを［192.168.1.254/24］に設定します。
```
sw1(config)# interface vlan 51
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding test-vrf2
sw1(config-if-vlan)# ip address 192.168.0.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)# interface vlan 52
sw1(config-if-vlan)# ip vrf forwarding test-vrf2
sw1(config-if-vlan)# ip address 192.168.1.254/24
sw1(config-if-vlan)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「test-vrf2」でOSPFv2を有効に設定します。ルーターIDを［1.1.1.1］に、OSPFv2を有効にするネットワークを［192.168.0.0 0.0.0.255］および［192.168.1.0 0.0.0.255］に、それぞれのネットワークのエリアIDを［0.0.0.0］に設定します。また、スタティックルートの再配布をメトリック200、メトリックタイプ1で有効にします。
```
sw1(config)# router ospf vrf test-vrf2
sw1(config-router)# router-id 1.1.1.1
sw1(config-router)# network 192.168.0.0 0.0.0.255 area 0.0.0.0
sw1(config-router)# network 192.168.1.0 0.0.0.255 area 0.0.0.0
sw1(config-router)# redistribute static metric 200 metric-type 1
sw1(config-router)# exit
sw1(config)#
```
VRFインスタンス「test-vrf2」でスタティックルート［宛先ネットワーク：10.0.50.0/24 、ネクストホップ：192.168.1.200］を設定します。
```
sw1(config)# ip route vrf test-vrf2 10.0.50.0/24 192.168.1.200
sw1(config)# end
sw1#
```