ポートリダンダントの機能説明
ポートリダンダントは、PrimaryポートとSecondaryポートのペアで構成される、レイヤー2の冗長機能です。通常時は、PrimaryポートがActive状態でトラフィックを中継し、SecondaryポートがReady状態でトラフィックの中継を抑止します。
通常時のトラフィック中継
装置全体で設定できるリダンダントグループは、最大32個です。スタック構成の場合も同様です。
Ready状態のポートはトラフィックの中継を抑止している状態ですが、物理ポートはリンクアップしているため、レイヤー3機能のVLANインターフェースとしてはリンクアップしているポートとして扱われます。
Primaryポートがリンクダウンすると、SecondaryポートがActive状態に遷移してトラフィックを中継します。このとき、SecondaryポートからMACアドレス再学習フレームまたはFDBフラッシュフレームを送信し、上位ネットワークのMACアドレステーブルの更新を促します。
Primaryポートがリンクダウンした場合のトラフィック中継
Primaryポートがリンクアップすると、PrimaryポートがActive状態に復旧します。このとき、PrimaryポートからMACアドレス再学習フレームまたはFDBフラッシュフレームを送信し、上位ネットワークのMACアドレステーブルの更新を促します。
PrimaryポートがActive状態に復旧した場合のトラフィック中継
ポートリダンダントを設定するには、redundant group-numberコマンドを使用します。
プリエンプトモードと切り戻り遅延時間の設定
プリエンプトモードと切り戻り遅延時間の設定は、NP7000の1.06.01以降、NP5000の1.06.01以降、NP4000の1.02.01以降、NP3000の1.06.01以降、NP2100の1.09.02以降、NP2000の1.07.01以降、NP2500の1.08.02以降でサポートしています。
デフォルト設定(プリエンプトモード有効)では、「Primaryポートがリンクアップすると、PrimaryポートがActive状態に切り戻る動作」ですが、プリエンプトモードを無効にすることにより、「Primaryポートがリンクアップしても切り戻さない動作」に変更できます。この場合、PrimaryポートがリンクアップしてもSecondaryポートがActive状態のままで、リンクアップしたPrimaryポートがReady状態になります。
プリエンプトモード
また、プリエンプトモードが有効な場合に、切り戻り遅延時間(デフォルトは0秒)を設定できます。たとえば、切り戻り遅延時間を60秒に設定した場合、Primaryポートがリンクアップしてから60秒経過すると、PrimaryポートがActive状態に切り戻ります。なお、切り戻り遅延時間が経過するまでの間にSecondaryポートがリンクダウンした場合は、切り戻り遅延時間の経過を待たずに、即時PrimaryポートがActive状態に切り戻ります。
プリエンプトモードと切り戻り遅延時間を設定するには、redundant group-number preemptコマンドを使用します。
プリエンプトモードが無効な装置を起動した場合、PrimaryポートとSecondaryポートのどちらが最初にActive状態になるかは、それぞれのポートがリンクアップした順番によります。
プリエンプトモードが無効で「PrimaryポートがReady状態、SecondaryポートがActive状態」の場合に、no redundant group-number preemptコマンドでプリエンプトモードを有効に変更すると、PrimaryポートがActive状態に切り戻ります。
MACアドレス再学習フレーム送信機能の仕様と動作
MACアドレス再学習フレームの送信を有効にした場合、Active状態のポートが切り替わる際に、上位スイッチのMACアドレステーブルを更新するために、再学習が必要なMACアドレス(PrimaryポートおよびSecondaryポート以外で学習したMACアドレスエントリー)のための、MACアドレス再学習フレームを送信します。
MACアドレス再学習フレームの送信元MACアドレスは、そのエントリー自身のMACアドレスになります。上位スイッチのMACアドレステーブルで再学習させることで、上位スイッチ側からの片方向トラフィックのみの場合でも、すぐに通信を復旧できます。
MACアドレス再学習フレーム送信機能
MACアドレス再学習フレームの送信を有効にするには、redundant mac-address-table-updateコマンドを使用します。
FDBフラッシュフレーム送信機能/FDBフラッシュフレーム受信機能の仕様と動作
FDBフラッシュフレームの送信を有効にした場合、Active状態のポートが切り替わる際に、FDBフラッシュフレームを送信します。このとき、FDBフラッシュフレーム受信機能を有効にしたスイッチでは、FDBフラッシュフレームを受信した場合に、装置全体のMACアドレステーブルをクリアします。
これにより、上位スイッチ側からの片方向トラフィックしかない場合でも、FDBフラッシュフレームの受信を有効にした上位スイッチがFDBフラッシュフレームを受信して装置全体のMACアドレステーブルをクリアすることで、すぐに通信を復旧できます。
なお、FDBフラッシュフレームであることを判断するための宛先MACアドレスの設定は、任意に変更できます。これにより、特定の宛先MACアドレスのフレームを受信した場合に、装置全体のMACアドレステーブルをクリアすることもできます。
FDBフラッシュフレーム送信機能/FDBフラッシュフレーム受信機能
FDBフラッシュフレームの送信を有効にするには、redundant fdb-flush send enableコマンドを使用します。FDBフラッシュフレームの受信を設定するには、redundant fdb-flush receive enableコマンドを使用します。 FDBフラッシュフレームであることを判断する宛先MACアドレスを設定するには、redundant fdb-flush dst-macコマンドを使用します。