第2編
管理運用

Ethernet OAMの機能説明

イーサネット上で動作するOAM(Operations, Administration, Maintenance)には、いくつかの規格が存在します。この章では、IEEE 802.3ahで規格化された、「2つの隣接する装置間の回線状態を監視する機能(以後、Ethernet OAM)」について説明します。

Ethernet OAMでは、以下のようなことが可能です。

  • リンクモニタリングとイベント通知
  • リモートループバック
  • Ethernet OAMを利用した単方向リンク検出

Ethernet OAMを有効化するには、ethernet oamコマンドを使用します。Ethernet OAMの動作モードを設定するには、ethernet oam modeコマンドを使用します。

リンクモニタリングとイベント通知

リンクモニタリングイベントを有効にすると、有効にしたポートのリンクモニタリングが開始されます。設定した監視条件を満たすと、イベント記録と対向装置へのイベント通知が行われます。以下に、各リンクモニタリングイベントを示します。

Errored Symbol Periodイベント

しきい値はシンボルエラー数です。設定した監視期間中に発生したシンボルエラー数がしきい値を超えた場合に、Errored Symbol Periodイベントが記録され、Errored Symbol Period Event TLVを含むEvent Notification OAMPDUが送信されます。ethernet oam link-monitor error-symbolコマンドで設定します。

Errored Frameイベント

しきい値はエラーフレーム数です。設定した監視期間中に発生したエラーフレーム数がしきい値を超えた場合に、Errored Frameイベントが記録され、Errored Frame Event TLVを含むEvent Notification OAMPDUが送信されます。ethernet oam link-monitor error-frameコマンドで設定します。

Errored Frame Periodイベント

しきい値はエラーフレーム数です。設定した監視フレーム数を受信する間に発生したエラーフレーム数がしきい値を超えた場合に、Errored Frame Periodイベントが記録され、Errored Frame Period Event TLVを含むEvent Notification OAMPDUが送信されます。ethernet oam link-monitor error-frame-periodコマンドで設定します。

Errored Frame Seconds Summaryイベント

しきい値は、「1秒以内に少なくとも1個のエラーフレームを検出したことがある秒数」です。設定した監視期間中に「エラーフレームを検出した秒数」がしきい値を超えた場合に、Errored Frame Seconds Summaryイベントが記録され、Errored Frame Seconds Summary Event TLVを含むEvent Notification OAMPDUが送信されます。ethernet oam link-monitor error-frame-secondsコマンドで設定します。

その他、Flagsフィールドの「Link Faultビット」「Dying Gaspビット」「Critical Eventビット」のいずれかがセットされたOAMPDUを受信した場合にも、それぞれのイベントが記録されます。

記録されたイベントログは、show ethernet oam event-logコマンドで確認できます。また、dot3OamEventLogTable MIBでも確認できます。イベントログをクリアするには、clear ethernet oam event-logコマンドを使用します。

リモートループバック

リモートループバックは、対向の隣接装置のポートをループバックモードに変更する機能です。ループバックモードに変更すると通常のフレーム中継はできなくなるため、使用する場合は十分に注意して使用してください。

対向の隣接装置のポートに対してループバックモードの開始/終了を要求するには、ethernet oam remote-loopbackコマンドを使用します。また、隣接装置から受信したループバックモード設定要求に対する動作を設定するには、ethernet oam received-remote-loopbackコマンドを使用します。

Ethernet OAMを利用した単方向リンク検出

Ethernet OAMを利用して、単方向リンク(双方向通信不可の場合も含む)を検出できます。また、単方向リンクとして検出されたインターフェースを自動的にシャットダウン(err-disabled状態に変更)できます。

単方向リンク検出機能を有効化するには、uld enableコマンドを使用します。Discoveryプロセスの完了待機時間を設定するには、uld discovery-timeコマンドを使用します。単方向リンクとして検出されたインターフェースを自動的にシャットダウン(err-disabled状態に変更)するには、uld actionコマンドを使用します。

注 意

単方向リンク検出機能は独自仕様のため、他社製品の同等機能との相互接続はサポートしていません。

補 足

単方向リンク検出機能でerr-disabled状態にされたポートのリンク状態は、show interfacesコマンドでは"link status is down (error disabled: OAM Unidirectional Link)"と表示されます。また、show interfaces statusコマンドのStatus項目では"err-disabled"と表示されます。

障害を検出してシャットダウン(err-disabled状態に変更)されたインターフェースは、shutdownコマンドとno shutdownコマンドを使用すると手動で復旧できます。また、errdisable recovery cause uldコマンドを使用して自動復旧を有効にしておくと、障害を検出してインターフェースがerr-disabled状態になっても、一定時間経過後に自動的に復旧されます。

補 足

errdisable recovery cause uldコマンドは、NP7000の1.06.01以降、NP5000の1.06.01以降、NP4000の1.02.01以降、NP3000の1.06.01以降、NP2100の1.09.02以降、NP2000の1.07.01以降、NP2500の1.08.02以降でサポートしています。

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