スタックの仕様と動作
スタックの仕様と運用時の動作について説明します。
スタック機能のデータトラフィック
スタック機能では、受信元と送信先が同一の装置ではないという理由により、転送されるデータトラフィックがスタックメンバーを横断する場合があります。
リングトポロジーとチェーントポロジーでのデータトラフィックを説明します。
リングトポロジーのデータトラフィック
ユニキャストトラフィックは、最短パスで宛先ボックスに転送された後、宛先ネットワークポートから送出されます。
ユニキャストトラフィックは、レイヤー2スタックとレイヤー3スタックの双方とも、最短パスで転送されます。
最短パスが2つある場合、ポート番号が小さいスタックポートのパスが使用されます。
リングトポロジーのユニキャストトラフィック
ユニキャスト以外(宛先が不明なユニキャスト、マルチキャスト、およびブロードキャスト)のデータトラフィックの場合、トラフィックループを防ぐためにループトポロジーがスタック上に存在し、スタックプロトコルがスタックリンクのうちの1つをブロックします。これをパッシブリンクと呼びます。
パッシブリンクは、ループ防止のためにユニキャスト以外のデータトラフィックをブロックします。ただし、ユニキャストトラフィックは通過を許可されます。
リングトポロジーのユニキャスト以外のデータトラフィック
チェーントポロジーのデータトラフィック
宛先が指定されたユニキャストトラフィックは一方向に進行し、スタックポートを介して宛先に到達します。
チェーントポロジーのユニキャストトラフィック
ユニキャスト以外(宛先が不明なユニキャスト、マルチキャスト、およびブロードキャスト)のデータトラフィックは、受信スタックポートを除くすべてのリンクアップスタックポートで、受信したポートを除くすべてのポートに転送されます(フラッディング)。フラッディングが発生しているスタックメンバーがデータパス上に存在する場合、トラフィックはフラッディングが発生しているスタックメンバーによって送出されます。
ユニキャスト以外のデータトラフィックを受信した相手は、宛先が自分ではない場合には返信しません。宛先が自分の場合は、送信元に返信します。
チェーントポロジーのユニキャスト以外のデータトラフィック
スタックとポートチャネルの併用
スタックとポートチャネルを併用する場合、スタックを構成する装置を跨いだポートチャネルとの接続ができます。この場合、チャネルグループに登録できるポートの最大数は「8」です。
スタックとポートチャネルの併用
スタックとポートチャネルを併用した構成では、スタックを構成する装置のポートチャネルの分散アルゴリズムにより、入力ポートと出力ポートの装置が異なる場合、データトラフィックはスタックポートを経由して出力ポートから出力されます。
2台限定のチェーントポロジーでスタックを構成し、stack port-channel mode partialコマンドを有効に設定した場合、スタックを跨いだポートチャネルでの装置跨ぎの負荷分散を無効にできます。
スタック(2台限定のチェーントポロジー)で装置跨ぎの負荷分散を無効にした場合
出力ポートは、入力ポートと同じ装置のメンバーポートの中から、分散アルゴリズムに従って選択されます。リンクダウンなどで同じ装置に送信可能なメンバポートが1つも残っていない場合は、スタックポートを経由して別装置のメンバーポートから出力されます。
ApresiaNP2100-48T4X、ApresiaNP2100-48T4X-PoE、ApresiaNP2000-48T4X、およびApresiaNP2000-48T4X-PoEでは、stack port-channel mode partialコマンドはサポートしていません。
stack port-channel mode partialコマンドは、2台限定のチェーントポロジーでスタックを構成した場合のみ使用できます。
本設定は、スタック構成のままでは設定変更できません。単体で起動している状態で設定してください。また、本設定は、構成情報を保存してから装置を再起動してスタックが有効になった時点で反映されます。
パッシブリンクの発生条件
パッシブリンクが発生する条件は、以下の2つです。
リングトポロジーのスタックを起動後、リングトポロジーとしてスタックが初期化されます。このとき、マスターのスタックポート1に接続されたスタックリンクがパッシブリンクになります。
リングトポロジーでスタック起動時に発生するパッシブリンク
新しく追加されたスタックリンクがパッシブリンクになります。
トラフィックループが解消された場合、また、既存のケーブルに障害が発生した場合は、パッシブリンクが解消されます。
チェーントポロジーからリングトポロジーへの変更時に発生するパッシブリンク
トポロジーとスタックメンバーの変更
トポロジーおよびスタックメンバー変更時の動作を説明します。
リングトポロジーからチェーントポロジーへの変更
リングトポロジーでケーブルに障害が発生した場合、Ring to Chainイベントが発生し、スタックトポロジーがチェーントポロジーに変更されます。ケーブルに障害が発生した後、チェーントポロジーに変更されるまで、約1秒を要します。
スタックメンバーの追加
稼働中のスタックに、スタックメンバーを追加できます。スタックメンバー追加時の動作は、スタックの稼働環境によって異なります。
- 電源ONの状態の装置をスタックに追加する場合、一時的にスタック内でマスターが重複して存在することになります。その後、再計算によってスタックメンバーがバックアップマスターまたはスレーブの役割に切り替わる場合は、バックアップマスターまたはスレーブの役割に切り替わった装置の初期化が行われ、同期をとるためにすべてのポートが一時的にリンクダウンします。
- 電源OFFの状態の装置をスタックに追加する場合は、装置の初期化が行われた後にスタックに追加されるため、ポートのリンクダウンは発生しません。
- 追加するスタックメンバーが稼働中の場合(追加時にファームウェアが動作している場合)、スタックトポロジーの更新が終了するまで、約24秒を要します。
- 追加したスタックメンバーが停止中の場合(追加後にファームウェアを起動する場合)、スタックトポロジーの更新が終了するまで、約48秒を要します。
スタックメンバーの取り外し
稼働中のスタックからスタックメンバーを取り外せます。取り外す際、設定変更は不要です。ケーブルのみ、接続しなおしてください。
スタックメンバーの取り外し
取り外したスタックメンバーに関連する設定は、構成情報に残ったままになります。構成情報から取り外したスタックメンバーに関連する設定を削除する場合は、stack removeコマンドを使用します。
スタックメンバーのリプレース
稼働中のスタックでスタックメンバーに障害が発生した場合、障害が発生したスタックメンバーを取り外し、予備の装置を接続します。
スタックメンバーのリプレース
プリエンプトモードが無効の場合に、マスターの切り替わりを発生させずにスタックメンバーをリプレースする方法、およびプリエンプトモードが有効の場合に、スタックメンバーをリプレースする方法を説明します。
プリエンプトモードが無効の場合にスタックメンバーをリプレースするには、予備の装置に以下の手順を実行します。スタックに接続してから予備の装置の電源を入れることにより、マスターの切り替わりを発生させずに、障害発生前のスタックと同じ設定を保持できます。
- stack bandwidthコマンドを使用し、スタック機能を有効にします。
- stack renumberコマンドを使用し、障害が発生した装置のボックスIDを予備の装置に設定します。
- write memoryコマンドを使用して設定を保存した後、電源を切ります。
- スタックに接続し、電源を入れます。
- 予備の装置がスタックメンバーとして認識された後、stack priorityコマンドを使用し、障害が発生した装置に設定されていた優先度を予備の装置に設定します。
- マスターでwrite memoryコマンドを使用し、設定を保存します。
リプレースした予備の装置にスタック全体の構成情報を保存するために、予備の装置がスタックメンバーとして認識された後、マスターでwrite memoryコマンドを使用する必要があります。
リプレース後のスタックメンバーにはRSA/DSA鍵対が引き継がれません。SSHを使用する場合は、マスターでRSA/DSA鍵対を新たに作成してください。
リプレース後のスタックメンバーにはカスタマイズした認証ページ、SSLサーバー証明書(https-certificate)、およびSSLサーバーの秘密鍵(https-private-key)が引き継がれません。各ファイルを使用している場合は、copyコマンドを使用してスタック構成全体にコピーしてください。
スタックに接続する前に予備の装置でボックスIDと優先度を設定するために、stack my_box_idコマンドやstack my_box_priorityコマンドも使用できます。
プリエンプトモードが有効な場合にスタックメンバーをリプレースするには、予備の装置に以下の手順を実行します。ただし、旧マスターの場合は以下の手順ではリプレースできません。
- stack bandwidthコマンドを使用し、スタック機能を有効にします。
- stack renumberコマンドを使用し、障害が発生した装置のボックスIDを予備の装置に設定します。
- stack preemptコマンドを使用し、プリエンプトモードを有効にします。
- write memoryコマンドを使用して設定を保存した後、装置をrebootコマンドで再起動します。 再起動後に、スタック機能が有効化されます。
- stack priorityコマンドを使用し、障害が発生した装置の優先度を予備の装置に設定します。
- write memoryコマンドを使用し、設定を保存します。
- スタックに接続します。なお、スタックに接続してから予備の装置の電源を入れる手順でもリプレースできます。
- 予備の装置がスタックメンバーとして認識された後、マスターでwrite memoryコマンドを使用し、設定を保存します。
リプレースした予備の装置にスタック全体の構成情報を保存するために、予備の装置がスタックメンバーとして認識された後、マスターでwrite memoryコマンドを使用する必要があります。
リプレース後のスタックメンバーにはRSA/DSA鍵対が引き継がれません。SSHを使用する場合は、マスターでRSA/DSA鍵対を新たに作成してください。
リプレース後のスタックメンバーにはカスタマイズした認証ページ、SSLサーバー証明書(https-certificate)、およびSSLサーバーの秘密鍵(https-private-key)が引き継がれません。各ファイルを使用している場合は、copyコマンドを使用してスタック構成全体にコピーしてください。
スタックに接続する前に予備の装置でボックスIDと優先度を設定するために、stack my_box_idコマンドやstack my_box_priorityコマンドも使用できます。
SDカードブート使用時のスタックメンバーのリプレース
スタックを構成するすべての装置にSDカードが実装されており、かつbackup cloneコマンドを実行済みの状態で、スタックメンバーをリプレースする場合は、以下の手順を実行します。
- 予備の装置に、交換対象となったメンバー装置のSDカードを実装します。
- 予備の装置をスタックに接続し、電源を入れます。
- 予備の装置がスタックメンバーとして認識されたことを確認します。
リプレース後のスタックメンバーにDSA/RSA鍵対、カスタマイズした認証ページ、SSLサーバー証明書(https-certificate)、およびSSLサーバーの秘密鍵(https-private-key)も引き継がれます。
障害発生時と復旧時の動作
マスター、バックアップマスター、またはケーブルに障害が発生した場合の動作、およびそれぞれが復旧した場合の動作を説明します。
障害が発生した場合、スタックトポロジーが変更されます。スタックトポロジーの変更には、約1秒を要します。
マスターの障害発生/復旧時の動作
マスターに障害が発生した場合、バックアップマスターがマスターになり、その次に優先度の高いスレーブがバックアップマスターになります。このとき、各VLANインターフェースのMACアドレスは元のMACアドレス(最初のマスターのMACアドレス)を引き継ぎます。これにより、通信を継続できます。なお、マネージメントポートのMACアドレスは、新マスター装置のMACアドレスに変更されます。
以下に、マスターに障害が発生した場合と、ダウンした旧マスターの装置が復旧した場合の動作と表示例を示します。
スタックのマスターから引き継がれたMACアドレスは、show versionコマンドで確認できます(NP7000は1.06.01以降、NP5000は1.05.02以降、NP4000は1.02.01以降、NP2000は1.07.01以降で対応しています。それより前のバージョンでは、show mac-address-tableコマンドなどで確認してください)。
マスターに障害が発生する前の構成
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Ring My Box ID : 1 Master ID : 1 BK Master ID : 2 Box Count : 3 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 32 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 2 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 4
マスターに障害が発生すると、バックアップマスターがマスターになり、その次に優先度の高いスレーブがバックアップマスターになります。
マスターに障害が発生した場合
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Chain My Box ID : 2 Master ID : 2 BK Master ID : 3 Box Count : 2 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 - ApresiaNP7000-48X6L No 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2 2-port(40G) Down 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port Down Normal 4
この例の場合、旧マスターの装置が復旧すると、優先度の関係で旧マスターの装置がバックアップマスターになり、障害発生中にバックアップマスターになっていた装置はスレーブになります。
旧マスターの装置が復旧した場合
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Ring My Box ID : 2 Master ID : 2 BK Master ID : 1 Box Count : 3 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 10 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 2 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 4
プリエンプトモードが無効の場合、旧マスターの装置が復旧してもマスターは切り替わりません。プリエンプトモードを有効にするには、stack preemptコマンドを使用します。デフォルト設定では、プリエンプトモードは無効です。
バックアップマスターの障害発生/復旧時の動作
バックアップマスターに障害が発生した場合、バックアップマスターの次に優先度が高いスレーブがバックアップマスターになります。
以下に、バックアップマスターに障害が発生した場合と、ダウンした旧バックアップマスターの装置が復旧した場合の動作と表示例を示します。
バックアップマスターに障害が発生する前の構成
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Ring My Box ID : 2 Master ID : 2 BK Master ID : 1 Box Count : 3 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 10 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 2 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 4
バックアップマスターに障害が発生すると、バックアップマスターの次に優先度が高いスレーブがバックアップマスターになります。
バックアップマスターに障害が発生した場合
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Chain My Box ID : 2 Master ID : 2 BK Master ID : 3 Box Count : 2 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 - ApresiaNP7000-48X6L No 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2 2-port(40G) Down 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port Down Normal 4
この例の場合、旧バックアップマスターの装置が復旧すると、優先度の関係で旧バックアップマスターの装置がバックアップマスターになり、障害発生中にバックアップマスターになっていた装置はスレーブになります。
旧バックアップマスターの装置が復旧した場合
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Ring My Box ID : 2 Master ID : 2 BK Master ID : 1 Box Count : 3 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 10 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 2 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 4
スタックポートのケーブルの障害発生/復旧時の動作
スタックポートのケーブルに障害が発生すると、切り離されたスタックメンバーは、それぞれが独立したスタックとして機能し始めます。このとき、それぞれのスタックは同じIPアドレスとMACアドレスを使用するため、正常な通信ができなくなります。すみやかにケーブルの復旧を行ってください。
ケーブルが復旧すると、それぞれの装置はお互いをスタックメンバーとして認識し、優先度とMACアドレスに応じて役割が割り当てられます。なお、プリエンプトモードが無効の場合はマスターの優先度は「0」になるため、この例ではMACアドレスによってマスターとバックアップマスターが選出されます。
以下に、スタックポートのケーブルに障害が発生した場合と、ケーブルが復旧した場合の動作と表示例を示します。
スタックポートのケーブルに障害が発生する前の状態
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Ring My Box ID : 1 Master ID : 1 BK Master ID : 2 Box Count : 3 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 32 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 2 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 4
スタックポートのケーブルに障害が発生すると、切り離されたスタックメンバーは、それぞれが独立したスタックとして機能し始めます。
スタックポートのケーブルに障害が発生した場合
旧マスター装置の状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
show stackコマンドの[MAC]項目には、それぞれの装置自身のシステムMACアドレスが表示されます。
スタックのマスターから引き継がれたMACアドレスは、show versionコマンドで確認できます(NP7000は1.06.01以降、NP5000は1.05.02以降、NP4000は1.02.01以降、NP2000は1.07.01以降で対応しています。それより前のバージョンでは、show mac-address-tableコマンドなどで確認してください)。
Topology : Duplex_Chain My Box ID : 1 Master ID : 1 Box Count : 1 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 - ApresiaNP7000-48X6L No 3 - ApresiaNP7000-48X6L No 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) Down Down Normal 2 3 4
旧バックアップマスター装置の状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Chain My Box ID : 2 Master ID : 2 Box Count : 1 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 - ApresiaNP7000-48X6L No 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 - ApresiaNP7000-48X6L No 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2 2-port(40G) Down Down Normal 3 4
旧スレーブ装置の状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Chain My Box ID : 3 Master ID : 3 Box Count : 1 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 - ApresiaNP7000-48X6L No 2 - ApresiaNP7000-48X6L No 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2 3 2-port(40G) Down Down Normal 4
この例の場合はプリエンプトモードが無効なため、スタックポートのケーブルが復旧すると、各装置のMACアドレスによってマスターとバックアップマスターが選出されます。
スタックポートのケーブルが復旧した場合
スタックの状態をshow stackコマンドで確認した場合の例を示します。
Topology : Duplex_Ring My Box ID : 2 Master ID : 2 BK Master ID : 1 Box Count : 3 Box User Module Prio- Prom Runtime H/W ID Set Name Exist rity MAC Version Version Version --- ---- ---------------------- ----- ----- ----------------- ------- --------- ------- 1 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 10 00-40-66-AA-52-1B 1.00.01 1.05.01 A 2 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 0 00-40-66-AA-31-00 1.00.01 1.05.01 A 3 User ApresiaNP7000-48X6L Exist 60 00-40-66-AB-7D-5A 1.00.01 1.05.01 A 4 - NOT_EXIST No Stack Bandwidth and Unit Status: Box User Set SIO1 Active SIO2 Active Unit ID Bandwidth Bandwidth Bandwidth Status ---- --------- --------- --------- --------- 1 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 2 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 3 2-port(40G) 1-port 1-port Normal 4
スタック使用時の制限事項
プリエンプトモードでより高い優先度の装置がマスターに切り替わる場合には、ポート閉塞を伴うマスター再選出プロセスが動作するため、一定の通信断時間が発生します。
3 台以上のリングトポロジー構成にてメンバー装置を再起動させると、スタックの起動プロセスが終了するまで、スタック装置間を経由する学習済みユニキャストの中継が停止することがあります。
3台以上のリングトポロジー構成で、交換時などにメンバー装置を復旧させる場合は、片方のスタックケーブルのみを接続した状態で起動し、一度チェーントポロジーでスタック構成に取り込みます。その後、もう片方のスタックケーブルを接続する手順で復旧させることで、本注意事項を回避できます。
スタック構成では、各スタックメンバー装置が個々にMACアドレスを学習します。学習したMACアドレスは、CPUを介してスタックメンバー装置間で同期を行います。そのため、スタック構成全体でFDB同期が完了するまでには、非スタック装置の場合よりも多くの時間を要します。
スタック構成において、スタックメンバー装置をまたぐポート間でステーションムーブが発生(学習済みのMACアドレスが登録状態のまま、別のスタックメンバー装置のポートでフレームを受信して再学習)した場合、初回フレーム受信時には再学習されないことがあります。また、FDB同期の仕組みの制限により、再学習されずに該当MACアドレスがMACアドレステーブルから削除されることがあります。このような場合でも、移動先のポートで再度フレームを受信することで正常に再学習されます。
マスターがダウンして切り替わった場合、OSPFv3はリスタートします。マスター以外のスタックメンバーがダウンした場合はリスタートしません。また、スタックメンバーの復旧・新規追加時は、マスターの切り替わりの有無にかかわらず、OSPFv2/OSPFv3はリスタートします。
NP7000の1.06.01以降、NP5000の1.06.01以降、NP3000の1.06.01以降では、マスターがダウンして切り替わった場合でも、OSPFv2がリスタートしないように改善されています。それより前のバージョンでは、マスターがダウンして切り替わった場合、OSPFv2はリスタートします。
プリエンプトモードが有効で、スタックメンバーの復旧・新規追加時にマスターが切り替わる場合は、ポート閉塞を伴うマスター再選出プロセスの影響で、RIP/RIPngも一度クリアされます。また、プリエンプトモードが無効で、マスターが切り替わらない場合でも、復旧・新規追加されたスタックメンバーで受信したRIP/RIPng学習経路宛ての通信は、他装置からのRIP/RIPngパケットを一度受信するまでは中継されません。
スタックメンバーが追加され、マスターの切り替わりが発生した場合は、VRRPが再起動します。また、装置の障害や復旧が発生し、追加されたスタックメンバーが新たにマスターになる場合も、VRRPが再起動します。
スタックメンバーの障害や復旧が発生したとき、および装置が追加または削除されたときに、マスターの変更が発生する場合は、PIMが再起動します。
スタックメンバーのファームウェアアップデート
スタックを構成するすべての装置は、同一バージョンのファームウェアで起動する必要があります。そのため、ファームウェアをアップデートする場合は、スタック構成全体を再起動し、スタックを構成するすべての装置のファームウェアを同時にアップデートしてください。
ファームウェアのアップデート方法については、「第2編 管理運用」の「ファームウェアのアップデート方法」を参照してください。
ボックスID競合時の復旧手順
スタックを構成する場合、スタックメンバーには、それぞれユニークなボックスIDを割り当てる必要があります。ボックスIDが競合しているスタックメンバーを接続しても、スタックは構成されません。以下にボックスIDの競合ケースと、その場合の動作、および復旧方法を示します。
競合ケース | 競合時の動作 | 復旧方法 |
---|---|---|
競合ケース(1)
動作中のスタック構成に、ボックスIDが競合した装置を電源OFFの状態で追加してから、電源ONした場合。 |
動作中のスタック構成はそのまま動作。 新たに追加した装置はスタック構成に取り込まれず、ボックスID競合モードで起動。 |
新たに追加した装置をスタック構成から取り外し、一度電源OFF/ONして通常モードで単体で起動。その後、ボックスIDの競合を解消してから、スタック構成に戻す。 新たに追加した装置がマスターにならない場合は、ボックスID競合モードのまま復旧する手順でも復旧可能。 |
競合ケース(2)
動作中のスタック構成に、ボックスIDが競合した装置を電源ONの状態で追加した場合。 |
動作中のスタック構成はそのまま動作。 新たに追加した装置はスタック構成に取り込まれず、通常モードで起動したまま。 | 新たに追加した装置をスタック構成から取り外し、ボックスIDの競合を解消してから、スタック構成に戻す。 |
競合ケース(3)
すべての装置(ボックスIDが競合した装置を含む)を電源OFFの状態で接続してから、電源ONした場合。 | すべての装置がボックスID競合モードで起動。 | すべての装置をスタック構成から取り外し、一度電源OFF/ONして通常モードで単体で起動。その後、ボックスIDの競合を解消してから、スタック構成に戻す。 |
競合ケース(1)の動作例
たとえば、動作中の2台スタック構成(ボックスID:1、ボックスID:2)に、ボックスIDが競合した装置(ボックスID:2)を電源OFF状態で追加しから電源ONした場合、新たに追加した装置はスタック構成に取り込まれず、ボックスID競合モードで起動します。
競合ケース(1)のボックスID競合発生例
この場合、新たに追加した装置をスタック構成から取り外し、一度電源OFF/ONして通常モードで単体で起動しなおしてください。その後、ボックスIDを競合しないIDに修正してから、スタック構成に戻してください。
競合ケース(1)のボックスID競合の復旧手順例(1)
なお、新たに追加する装置がスタック構成に取り込まれた後にマスターにならない場合は、ボックスID競合モードのまま復旧させる手順も可能です。ただし、ボックスID競合モードにはいくつか注意事項があるため、ボックスID競合モードでの復旧手順を実施する際には注意して実施してください。ボックスID競合モードについては、「ボックスID競合モード」を参照してください。
競合ケース(1)のボックスID競合の復旧手順例(2)
競合ケース(2)の動作例
たとえば、動作中の2台スタック構成(ボックスID:1、ボックスID:2)に、ボックスIDが競合した装置(ボックスID:1)を電源ON状態で追加した場合、新たに追加した装置はスタック構成に取り込まれず、通常モードで起動したままです。
競合ケース(2)のボックスID競合発生例
この場合、新たに追加した装置をスタック構成から取り外し、ボックスIDを競合しないIDに修正してから、スタック構成に戻してください。
競合ケース(2)のボックスID競合の復旧手順例
競合ケース(3)の動作例
たとえば、3台の装置(ボックスIDが競合した装置を含む、ボックスID:1、ボックスID:2、ボックスID:1)を、電源OFFの状態でスタック接続してから同時に電源ONした場合、スタックは構成されず、すべての装置がボックスID競合モードで起動します。
競合ケース(3)のボックスID競合発生例
この場合、どの装置でボックスIDが競合しているのかが分からないケースを想定し、ボックスID競合モードのまま復旧手順を実施することは推奨しません。すべての装置をスタック構成から取り外し、一度電源OFF/ONして通常モードで単体で起動しなおしてください。その後、修正する必要のある装置でボックスIDを修正してから、スタック構成に戻してください。
競合ケース(3)のボックスID競合の復旧手順例
ボックスID競合モード
ボックスID競合モードで起動する際には、コンソールを接続していると、ボックスIDが競合したことを示すメッセージが出力されます。以下は、ボックスID[1]の装置が2台検出された場合の例です。
Boot Procedure V1.00.01 MAC Address: 00-40-66-DE-52-A1 H/W Version: A Power On Self Test: 100 % Please Wait, Loading V1.06.01 Firmware: 100 % UART init: 100 % Starting firmware... Device Discovery: - Stacking failed! Box ID 1 conflicts, please reconfigure it. Device Type: ApresiaNP7000-48X6L, MAC Address: 00-40-66-DE-52-58 Device Type: ApresiaNP7000-48X6L, MAC Address: 00-40-66-DE-52-A1
ボックスID競合モードでは実行できるコマンドは制限されています。また、省略形式でのコマンド実行はできません。以下に、ボックスID競合モードで実行できるコマンド一覧を示します。
- login
- logout
- enable
- copy running-config startup-config
- [no] stack renumber
- stack my_box_id(NP7000/NP5000は1.03.02以降)
- write memory(NP7000/NP5000は1.03.02以降)
スタック構成に取り込まれた後にマスターになる予定の装置がボックスID競合モードで起動した場合は、ボックスID競合モードで設定を保存しないでください。ボックスID競合モードでボックスIDを修正して設定を保存すると、再起動後にボックスIDは変更されますが、それ以外の設定は維持されません。
ボックスID競合モードでボックスIDを修正した装置をスタック構成に取り込んだ後は、マスター装置でwrite memoryコマンドなどで設定を保存し、新たに追加した装置のstartup-configにも設定を同期してください。
スタック構成に取り込まれた後にマスターにならない装置において、ボックスID競合モードでボックスIDを修正する手順を以下に示します。
- コンソール経由でログインします。
Ethernet Switch ApresiaNP7000-48X6L Firmware: Build 1.06.01 >
- 特権実行モードに遷移します。
> enable #
- ボックスIDを[2]に変更します。
# stack my_box_id 2 WARNING: The command does not take effect until the next reboot. #
- 設定を保存します。
# write memory Destination filename startup-config? [y/n]: y Saving all configurations to NV-RAM.......... Done. #
- 装置を再起動または電源OFF/ONすると、ボックスIDは変更されます。ただし、それ以外の以前の設定は維持されないことに注意してください。スタック構成に取り込まれた後は、マスター装置でwrite memoryコマンドなどで設定を保存し、新たに追加した装置のstartup-configにも設定を同期してください。
# reboot Are you sure you want to proceed with the system reboot?(y/n) y Please wait, the switch is rebooting...